bunnoichi’s diary

高専から大学編入した野郎の激ユル仙台日記(大フィクション)です

【高専を考えてる中学生必読】高専5年生による高専体験記

高専を考えてる中学生へ

この記事を開いた中学生の方、あるいは高専の話題に興味がありそうな方、こんにちは!

私は、関東の某高専5年の”ぶんのいち”と申します。この記事では、高専を考えている中学生あるいは保護者の方向けに、高専に5年間在学している私ぶんのいちが、自身の経験も踏まえ、高専生活のリアルを綺麗事や忖度無く赤裸々に書いていこうと思います。

ここでお話する高専の制度は、あくまでこれは筆者がいる高専の話ですので、他高専は事情が異なる場合も勿論あります。ぜひ、行きたい高専のHPもご確認の上、参考程度でとどめておいて下さい。

この記事はAdventカレンダーとして作ったものです。個人的な話ですが、記事締切の週の3日前まで中間試験をやっており、おかげで画像等をツッコむ余裕がなかったので文章だらけの記事になっています。スミマソン。

また、この手の内容の記事は他にも大勢ありますので、あまり他のサイトでは見かけないような内容も書ければと思っています。どうぞ、よしなに。

この記事は、群馬高専 Advent Calendar 2021 3日目の記事です。

高専て、ぶっちゃけどんな学校?

高専は中学卒業後に入学できる5年生の学校で...という説明もできますが、こういうのは文科省とか学校が散々言ってるので、そちらをご覧ください。

「ぶっちゃけどんな学校?」→「メチャクソ自由な学校」。

「おいクソ雑回答じゃねえかタコ野郎」と思う方がほとんどかと思います。一応の理由としては、高専では「生徒」ではなく大学生と同じで「学生」と呼ばれます。そのため(かは知らんが)髪型自由、服装自由、放課後自由、運転免許自由、お菓子自由、パソコン・スマホ自由、ゲーム持ち込み自由、YouTuber自由、もはや授業出席すらも自由...てな感じで、生活態度で学校にガミガミ言われることはほぼありません。唯一、法律or学則に触れたら停学処分くらいです。

基本「どう過ごすか」は学生の主体性に任せられています。なんでここでは「メチャクソ自由な学校」としました。たまに自由に浸かりすぎた人がいますが、それは”デメリット”の部分でお話します...

高専のメリット

ここでは、高専入学〜卒業までの過程におけるメリット(だと感じている点)を紹介します。正直、高専に入学するメリットはメチャあったと感じています

低学年から専門科目に触れられる

これは高専高専たらしめている最大の特徴の1つです。中学生に毛が生えたような1年生でも、専門的教育を受けたり実験を行うことが出来ます。「いきなり専門...?ついてけるか不安...」という気持ちも抱くと思いますが、どの分野も最初のうちは高校物理・化学の基礎の基礎の説明から始まり、これらを利用して専門性が増していきます。私は電気電子系でしたが、1番最初の専門科目はオームの法則以前に「電子というものがあります」みたいなとこから始まりました。

自由な時間が多い(長期休みがホントに長期)

高専は自由な時間がメチャ多いです。授業は基本、朝9時前に始まり16時には終わります(一部例外あり)。高校などである半強制参加の始業前、放課後の補講は無く、ホームルームは週一回、早い日だと午前には授業が終わります。もちろん、課題やレポートはしっかり出ますが、日頃しっかりやれば、遊んだり好きなことをする時間は十分すぎるほどあります。

また、夏休みと春休みは合わせると3ヶ月近くあります。本当に長いです。あまりに長いため、筆者は小中時代に絶対なかった「早く学校始まれ」という感情が芽生えたことがあります。

図書館の蔵書が豊富

高専の図書館は、蔵書数が中高の比では有りません。そもそも校舎の1部屋としてある「図書室」ではなく、建物として完全に独立した「図書館」として存在します。2020年度の全国の中学校の平均蔵書数は約11千冊、高校は約28千冊らしい(出典)です。その一方で、私の通う高専の蔵書数は11万冊超です(出典)。

公立の図書館には絶対無いような理系学生しか読まないような専門書も、高専図書館には大抵あります。蔵書は主に理工系の専門書がメインですが、一般の新書や小説、ラノベブルーバックス、外国語用の図書などもあります。驚いたのは、"木戸日記"や上田次郎の”どん超”なんかも置いてありました...

そんな感じで、理系の勉強を進んでやったり、本ベースでプログラミングの勉強やら調べ物をしたい人にはうってつけの空間となっています。

教員には1人1人「教員室」という部屋がある

高校と高専の一番大きな違いは、研究機関かそうでないかという点だと思います。高専にいる教員は全員が研究者として在籍しており、その中で授業をやっています。そのため、各教員は「教員室」と呼ばれる自分の部屋を持っています。いわゆる職員室は存在しません。教員の部屋は、基本紙なり本なりバカでかいPCなりが散乱しており、その中にデスクと椅子があります。

学生は基本、教員と面談する時に訪れます。あとは、授業でわからない所だったりを質問しに行くと椅子に座らされ「もう帰りたい」と思うほど教えてくれます。定期試験の前になると、いろんな先生の教員室が質問学生で賑わいます。

私自身の体験ですが、1年生の頃、担任の発案で定期試験向けに科目別のワーキンググループをやろうという話になり、英語の担当になりました。てなわけで、レポート作成の過程で分からない点を聞きに教員室へ行くと、2時間以上文法の歴史の話を聞かされました。嫌な思い出...ではありません。

この「教員室」という制度に触れられるのはメリットだと感じています。

塾に行かなくていい(塾代かからない)

入学前に意外と知らないのが、高専生は町の塾に行く必要がありません。強い言い方すれば、塾に行けません。というのも、高専は高校の授業内容・進度とは大きくかけ離れたことをやっているからです。

例えば数学。数学は、最初の方こそ高校と概ね同じ内容(n次方程式、三角関数、対数)をやりますが、整数の話とか確率の話はほぼ触れるだけで終わり、2年からは微積に加えて行列というものに手を出し始めます。3年に至っては完全に大学範囲(偏微分、重積分、対角化)です。

一方文系科目は、やりはしますが教養レベルです。また、文系の教員も院卒の研究者であるため、教員の専門分野によって授業内容に偏りが出ることもあります。なので高専生は高校の古典なり歴史なりを断片的にしか知りません。

こんな感じで、町の塾では高専生に合わせたカリキュラムを組むところは皆無だと思います。周りで塾に行ってる人間を1人も知らない私が証明よ。高専生は塾に通わず、勉強のギモンは友達グループか教員室で解決してます。

大学受験がない、けど自分の偏差値+10の大学に入るチャンスもある

高専における大学入試については、後ろの項目で詳説しますので、ここでは簡単に書きます。

高専生は、高校生が受験する大学入試は受けません。編入学試験”というものを受けて大学3年生として途中入学します。

編入試験の特徴としては、大学院入試とよく似ていて、理系科目と専門科目と英語しか出ません。そのため(多くの高専生が苦手そうな)国語や古典、世界史といった科目を勉強する必要がなく、自分の文理総合の偏差値よりも高い大学に入学できるチャンスもあります。私自身、一般入試じゃ無理だっただろう某旧帝大より合格を頂きました。

もちろん、何もせず受験したらどこの大学であろうと落ちますが、しっかり勉強・対策を行えば、こういったチャンスもあるということはお伝えしたいです。

学生の趣味の幅がメチャ広い

少し偏見ぽくなりますが、高専生はゲームはもちろんのこと、アニメ、ラノベ、ガジェット、プログラミング、電子工作、車バイク、鉄道、ロボット等々、中学ではマジョリティとは言えなかったような趣味を持っている人間が多く、みんな何かしらについて変態的に掘り下げています。実際に自分の周りには、上記のオタクは勿論、アマ無線、国家資格、日本酒、ワイン、紅茶、カメラオタクなどがおり、かく言う自分も音楽、架空地図、空港、道路標識なんかをパソコンで描いたりしてます。

そんな感じで、メチャクチャ趣味の幅が広く、中学ではマイナーだった趣味もわかり会える人がいる可能性は比較的高いです。

また、そんな趣味を持ってる高専生だからこそ、自分の世界を持っている人は少なくないと感じます。みんな何かしら自分の世界を持っているので、他人の目を気にすることもなければ、互いの趣味を悪く言うこともなく「うぇーお前〇〇やってんの〜?ww」みたいなことはありません。趣味のこと話すときはみんな堂々としてます。

高専と大学で別分野の卒業研究が出来る

これは最近思いました。高専生は5年次に”卒業研究”というものをやります。大学では4年次に卒業研究(卒論)を行います。”卒業研究”は、大学院生や教授というような人々がやるガチガチの研究ではなく、”研究体験”といったほうが近い気がします。

大学に編入する高専生は、”卒業研究”というものに高専と大学で2度行うわけですが、興味が複数ある人にとってはこれは大きなメリットだと感じています。

ここで自分語りをします。私は将来通信系の職に就きたいと考えており、通信系の内容を卒研でやってみたかったですが、同時に”物性”と呼ばれる原子・電子レベルのミクロな世界の物理にも興味がありました。5年の4月に悩んだ末、物性の卒研を高専で、通信の卒研を大学でやろうと決意しました。もちろん、この時点では大学なんぞ受けてもいないですが「〇〇大でやるんだ!」という思いが受験のモチベーションに繋がりました。

そんなこんなで、高専と大学で異分野の卒研を行うことにし、同時に「人生で2回こういう機会があるのはメリットだな」と感じています。

その他、メリット(良い点)
  • 部活が活発(運動部は”高校総体”ではなく”高専大会”というものに参加します)
  • 珍しい部活がある(ロボコンなど)→気になる高専HPの部活ページを見てみて下さい
  • 面積広い
  • セミナーなどで1,2年生でも研究の話などが聞ける
  • 免許取得自由
  • 2年から原チャリ通学可(要許可)
  • 学生はいろんな地域出身(3年次から留学生もいる)

高専のデメリット

ここでは、高専入学〜卒業までの過程におけるデメリット(だと感じている点)を紹介します。高専の負の側面はあまり語られることはないので、貴重かもしれません。

進路変更しづらい

これはよくある話です。入学したら「なんか違う」という学生は毎年います。例えば「電気入ったけど俺化学の人間だったわ」という場合、1,2年生が終わる段階で成績が問題なければ”転学科”という制度を利用して化学科に移籍することが可能です。

問題は「そもそも理系のアタマじゃなかった」or「学科の勉強が苦痛になってきた」という場合です。この場合は進路変更が難しく、取れる手段は思いつく限りは以下のとおりです。

  1. 退学して高校入学
  2. 退学して高卒認定を取って希望の進路へ
  3. 3年まで頑張って高卒資格だけ取って退学→希望の進路へ
  4. 退学してゲーマーになる

私はこの高専5年間で4例全て聞きました。なんにせよ、学科の勉強に興味がなくなったら意思を持って行動しましょう(でないと留年したり卒業できても何も出来ない人になったりします)。

教員は授業のプロではない

これもよく言われることですが、教員は研究・その分野のプロであって、教えることのプロではありません。事実、高専教員は教員免許を持っていません。そのため、授業の上手さは人によってピンきりです(1年目で分かりやすい人もいれば定年間近でも何やってるかわからん人もいる)。

ガミガミ言う教員がいない

自主性が重んじられる校風ということもあり、教員は基本、中学校の先生ほど学生に興味ありません。たとえ遅刻欠席が多く生活態度が悪くても一言二言言われるくらい。課題を出さなくても「出してくださいね〜」くらいで、部屋に呼ばれて指導なんてことはありません。唯一よく聞くのは、担任が教科担当の教員から文句を言われた時です。

無論、留年が決まりそうになったり、進路相談、いじめなどの深刻な相談にはしっかり対応してくれますが、コレ以外は基本ないと思います。

自由すぎる

先述の通り、教員はガミガミ言いません。そのため、自宅で勉強するかしないかは学生本人次第です。

「ははーん、俺別に今学年トップだからまあ余裕っしょ」と思ったそこのお前!。中学時代学年上位10%だったのに留年したヤツを私は3人知っている。

自由を履き違え、自ら律することが出来ないと留年します。好きなことをやる時間と勉強・課題をやる時間はうまく調整しましょう。

自主性がないと人として腐る

部活は強制ではありません。夏休みと春休みは本当に長いです。委員会活動も形骸化しているものが多いです。教員はあまり口出ししないため、クラスの仕事を拒否したりサボることも出来てしまいます。グループディスカッションのように、普段話さない人と強制的に会話しなければならない機会も5年間で数えるほどです。授業において「コレ分かる人」「ハイ!」なんて挙手の機会はありません。大学と比べてクローズドな環境であったり、1人暮らし高専生はめったにいないため、同じ学力レベルの大学生が考えているような経済的な問題、社会問題などに関心を持つ人は少数派です。

以上のような学校であるため、自ら行動しないと本当に人として腐っていきます。自主性が重んじられる学校ならではだと感じます。恐らく大学も同じでしょうが、高専生は高校1年の年齢から腐敗が始まります。大学生と比べ、3年間先行してるという点は大きいです。

私も人のことを言える立場ではないですが、「勉強はできるけど社会出てどうなんだ?」「この人に自分はあるのか?」という人をゴロゴロ見てきました。高専で”キャリア教育”なんてものは名ばかりで、ほぼ感じません。

若干まとまりがなく意識高い系みたいになってしまいましたが、何が言いたいかというと、勉強も大事だけど社会に出て役に立ちそうなことには1つでも手挙げといた方がいいかもよということです。クラスの仕事とか、文化祭の実行委員とか、部活の要職とか、アルバイトとか、学生会入るとか、Adventカレンダーで記事書くとか、ゼミやるとか。

横道に逸れますが、編入試験を受験すると大抵の場合面接があり、その中で聞かれる常套質問に「勉強以外で何頑張りましたか?」というものがあります。実際私も聞かれましたが、この質問に苦戦する高専生は意外と多いのではないかと感じています。

もしこの記事を読んで入学される方がおられたら、是非勉強以外で何かしら前向きにチャレンジしてほしいです。

学校と受験・就活の両立が難しい

後述しますが、高専生もその先の進路のために受験・就活があります。中学高校などでは、受験直前期にはほぼほぼ演習自習みたいな授業になるかと思いますが、高専はそうは行きません。これも後述しますが、高専の授業は”シラバス”と呼ばれる予定表が有り、学校側も学生が忙しいと知っていても、これに則って粛々と授業を進みます。無論、課題も普通に出ますし、定期試験も1〜4年と同じくガッツリやります。言い換えれば、学校は受験生なんぞおかまいなしで授業をしてきます。自分もなかなか厳しい思いをしながら乗り切りました。
おまけに、5年は”卒業研究”も並行してやらなければなりません。これは指導教官によってガツガツやる人もいれば、「進路決まってから本腰入れて」という人までピンきりです。

高専生の卒業後の進路(大学、専攻科、就職)

ぶっちゃけ、高専入学から進路を決めるまで4年以上の時間がありますので、詳しくは3,4年の然るべきタイミングで考えて下さい。ここでは「一応こんな道があるよ」っていう感じで紹介します。

大学に行きたい場合

高専生は、高校生と同じような大学受験をしません。なぜなら、高校生と同じことはやってないからです。では大学に行きたい高専生はどうするのか...

編入」です。

大学に行きたい高専生は、大学の3年生として途中から入学できる「編入学試験」というものを5年の夏に受けます。編入については、いろんな大学の編入体験記がありますので、ぜひ御覧ください。

ここでは、中学生の方向けに大学編入の特徴についてつらつら書きます。

  • 学校との両立が辛い
    →先述の通り、学校の授業や試験は1〜4年のときと同じスピード・同じ密度で進みます。そのため、筆者は授業中はひたすら内職、定期試験も赤点取らないレベルで取り組みました。
  • 受験する大学は国公立
    編入試験は国公私立関係なくどこでもやってますが、高専生はなぜか国公立しか受けない風土があります。参考までに全国の高専生の進路を貼っておきます。

    www.kosen-k.go.jp

  • 受験・編入学できるのは主に工学部
    →当然といえば当然ですが、高専生は工業系の科目をメインでやっているため、進学できるのは工学部です(理学部、たまに経済学部も可)。
  • 推薦は基本無い
    編入で推薦入試をやる大学はあまりなく、大体学力入試です。
  • 科目数がセンターより少ない(数学、物理、英語、志望学科の専門科目の4科目が主流)。
    →この中で、大体の大学で英語は「TOEIC事前に受けてスコア出せ!」と言われるので、実質英語は受験科目ではないことが多いです。大学によっては化学や国語も出ます。また、科目数が少ないため一般入試では逆立ちしても受からないような大学に受かる可能性があります
  • (金と日程が合えば)国立大学受験し放題
    →一般入試では、国立を受ける場合は1大学しか受けられません。ですが、編入試験は各大学が独自で行っているものであるため、試験日がバッティングしなければいくつ国公立大学を受けても問題有りません(但し、いくつも受けようとすると対策が疎かになり危ない)。ちなみに私は国立2大学、公立1大学受けました。
  • 試験範囲は高校〜大学範囲
    編入は3年次入学なので、大学2年までの内容が範囲となります。
  • 模試はない
    →1回だけそんなような話を聞きましたが、基本無いです。
  • 模試がないから偏差値が分からない
    →通常の受験は「自分の偏差値」と「大学の偏差値」という分かりやすい指標がありますが、編入業界においては両方存在しません。そのため、受かるかどうかは過去問解いた感覚と、去年そこに受かった人がクラス何位くらいだったかで予測します。
  • 受験は夏
    編入試験は主に6〜8月中に実施されます。大学に行った友達が夏にウェイウェイしてるのを見ると、なかなか辛いものがあります。
  • 進学先によっては、1年間確定留年となる
    →大学に編入すると、高専で取得した単位を大学の単位に換算する手続きを行います。この手続を経ることで、その大学の1,2年をやったことになります。ですが、東大など必修単位数がメチャ多かったり、高専での内容と大きく離れた分野に行く場合は、卒業に必要な単位がどうやっても足らないため、強制留年します。

卒業後も高専で勉強・研究をしたくなった場合(専攻科)

高専生の卒業後の進路は、大学進学、就職、そして”専攻科”というものがあります。

専攻科は、高専5年間(本科)を卒業後、2年間高専に留まって研究・学習を行うエクストラステージです。このステージを修了すると”学士”という大卒と同じ学位をもらい、院進or就職となります。”専攻科”の世間の認知度は”高専”より格段に低いですが、専攻科に進学する人間は主に学科順位上位20%以内の頭良い人々です。

以下、専攻科の特徴を記します。

  • 推薦が取れれば試験科目は面接のみ
    →これは場所によってかと思いますが、推薦が取れれば面接だけで合格を得られます。ただ、推薦条件は1〜4年のクラス順位が上位でないと取れないため、普段頑張ってきた人向けです。
  • 受験科目数が少ない
    →学力試験を受験する場合、こちらも受験科目は数学などの基礎科目+専門科目くらいで、少なめです。
  • 大学より学費が安い
    →国立大の学費は約54[万円/年]ですが、専攻科は約23.5[万円/年]と約半額です。これは本科も同じ値段ですが、大卒として考えると、必要な学費は(23.5*7+入学金8*2)180[万円]で済み、高校から大学に行った際の(54*4+入学金28+高校での塾代等=)オーバー約250万円より格段に安いです。ただ、高専と大学で比較すれば設備諸々当然大学のほうが充実しているため、この辺はトレードオフです。
  • 3年間同じ研究が出来る
    高専生は本科5年で”卒業研究”と呼ばれる研究を行います。大体の学生は1年間で終わらせ外へ行きますが、専攻科進学の学生はこのときのテーマを引き継いで研究を行うことが出来ます(研究室を変える人もいる)。
  • うまく行けば学会発表が出来る
    →専攻科2年くらいで研究がうまくいくと何かしらの発表会に参加する機会も得られます。専攻2年は世間で言う大学4年(B4)ですが、大学生はこの年から初めて研究室配属となるため、大きなアドバンテージと言えます。
  • 7年間同じ環境になる
    →個人的にこれはデメリットだと思っています。中学卒業から専攻科卒業までの7年間、年齢にして15〜22歳の大事な時代を全く同じ場所、同じ人々、同じ環境で過ごすことになります。人数も本科時代より少なくなり、自ら行動しない限り新しい経験・交流はありません。

こんな感じです。また、専攻科は優秀な人間しか行けないため、進学就職実績もメチャいいです(高専機構HP;就職・進学データ資料)。

就職の場合

私自身は就職をしなかったため、正直詳しいことはわかりかねますが、一応書いておきます。

高専生は就職にメチャクチャ強いです。高専が出来た経緯からしても、納得です。

就職率は99%超え。これだけ見ると「大学生とあんま変わんなくね?」という意見もありそうですが、高専生はなんと10月上旬の段階でこの数字に達します。おまけに、有効求人倍率は驚異の約20〜30倍!。うろ覚えな数字ですが、私のいる学校某学科の今年の求人倍率が57.4倍とかいうわけわからん数字を叩き出したりもしていました。

mynavi-agent.jp

なぜこんな驚異的な有効求人倍率なのか?ということを考えてみると...

  • 製造・技術業界では、高専生は現場で即戦力になるという認識がある。
  • そのため、企業は大学と同じように高専にも求人を出す。
  • ただ、就活大学生は就活高専生の何百倍も多い。
  • そのため、「新卒大学生枠」は常に厳しい競争があるが「新卒高専生枠」は求人数に対して希望者がメチャ少ない。
  • 高専の有効求人倍率が爆ハネする。

こういう具合なのではと考察してみました。

しかも、就職先は(基本技術系の入社ですが)地元企業はもちろん、CMでよく見る有名企業、製作所、官公庁などなど。就職には困らないと言っても差し支えないと思います。

高専に向いている人って?

ズバリ申し上げます。

数学理科が得意な人<<<数学理科が好きor面白いと思う人

個人的にはこれがベストな回答だと思っています。もちろん、数学理科が得意なのは誇れることです。ただ、それは「ただ単に数学理科が出来てしまうだけではないか」を考える必要があります。

高専でやる数学物理は、受験のためではなく工学のためにやります。そのため、大学受験みたいな応用問題を解くよりは、理論や仕組みをどんどん学んでいくスタイルです。毎日毎日新しいことを勉強するため、「ただ得意」だと「学習→解く→学習→解く→...」の繰り返しとなり、嫌になる時やなんのためにやってんだろ期が来る可能性が「理数系好きな人」より早いと思います。

そんな感じで「数学のココがおもろい!ロマンだ!」とか「電波の正体はこうだったのか!感動!」とか感じる人の方が向いてます。論理の補強として、中学の国語の教科書に載ってた孔子の言葉を貼っておきます。

www.otani.ac.jp

これも私の話ですが、中学時代、単純に教科として数学は好きでしたが、受験でやるような応用問題はあまり出来ませんでした。そんな不安もありつつ入学した高専でしたが、元々興味はあったため、結果うまいこと点数を稼ぐことが出来、専門科目に応用できたりしました。

私の身の回りにも、理数科目に興味があったり好きだから出来てる人が多い印象です(ただ単に出来る人も中にはいます)。

よくある質問

入学前に抱くだろうよくある質問を自作自演します。

  • 赤点60点てマジすか?→マジです。ただ、課題提出と試験勉強やれば普通赤にはなりません。
  • 留年てそんなしますか?→課題提出と試験勉強やれば普通留年にはなりません。留年する人はそれなりの理由があります。
  • 実験キツイ?→授業でやるより先行して実験をやることがちょくちょくあります。そういうときは理解が追いつかなかったりしますが「こういうものだ」と思って受け入れます。レポートはコツコツやればどうにかなります。
  • 授業ついていけんの?→基本どうにかなります。悩んだら誰かに質問しましょう。
  • どんなヤツいんの?→いわゆる陰キャが多いですが、いわゆる陽キャもそこそこいます。昼休みは音ゲーマーからスケボー乗りまでいます。クラスの雰囲気や部活、ともに普通の中高と変わりないと思います。大体の人は何かしら趣味を持って、深く掘り下げてます。たまに変な人も居ます(うちには自称共和国国王がいました)。

他にもあれば、適宜追加します。

中学生向け お役立ち情報

シラバスについて

高専、及び大学には”シラバス”と呼ばれるものがあります。シラバスとは、実施される各授業について「誰先生が、どの教室で、何時間目に、教科書何を使って、何の授業するか」が記されており、1回の授業で何をするかがわかります。

高専の授業なにやんのや」と気になったら、こちらを見ると良いかもしれせん。

高専シラバスhttps://syllabus.kosen-k.go.jp/Pages/PublicSchools

このページから、自分の気になる高専→気になる学科と進むと、その科で5年間何やるのかがわかります。

高専系YouTuber”かっつー”氏について

某仙台高専出身の銀だこ系YouTuberの方で”かっつー”さんという方がいらっしゃいます。この方は、高専に対し無償の愛と恨みを持っておられる方で、高専の話題について動画を上げてらっしゃいます。


www.youtube.com

この動画で挙げられているあるあるは、私は9割以上「わかる〜」ってなりました。この記事で話していないこと(恋愛や青春など)も多くありますので、気が向いたらぜひご覧ください。

終わりに

そんなこんなで、中学生及びその保護者の方向けの記事を終わりたいと思います。図も一切入ってない読みにくい記事で申し訳有りません。某高専て書いてたけど、思いっきり群馬高専てわかりますね。

さておいて、最後までご覧いただきありがとうございます。この記事を是非参考の1つに加えて頂き、高専の受験をするか否かをお考えいただければ幸いです。繰り返しになりますが、制度やイベント、部活は各高専でまちまちですので、適宜HPでご確認下さい。

この記事を読まれた方の前途をお祈りして、結びとします。